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森林での”釣り”
警戒を怠らず、歩を進める。
マフィアらしき3人はまだ、こちらを見ている。
このまま、何もなければシンシアさんを逃がすことは出来るだろうけど、
同時に向こうが出した尻尾を掴めない。
ならば、今度は釣りだ。
「……シンシアさん」
「なんでしょう?」
釣りの詳細をシンシアさんに伝える。
なるべく小声で、そんな会話等していないかの如く、互いに進行方向を向いたままだ。
「……わかりましたわ」
充分に、詳細を伝えたところで、仕掛けの段階は終わった。
後は竿を振るだけだ。
「なら、行きますよ……!」
「ええ!」
そして、私達は走り出した。
と言っても、シンシアさんのスピードに合わせてだ。
私はそれに合わせながら、背後を確認する。
警戒していた存在が急に逃げ出したように見えた時、
身体さえ反応すれば、大抵はその後を追おうとするものだ。
そして、例に漏れず、3人もまた私達を後を追うように走り出した。
この時点で、釣りはほぼ成功したと言っていい。
「『シャットアウト』展開……『ステルスフィールド』!」




