死者を弔うということ
……
ちーちゃんをアニスの小屋に残して、私はシンシアさんと共にアミテさんが眠る墓標へ向かった。
集落の集団墓地、森の高台の端にその墓はひっそりとあった。
「……『アミテ』、あった。ここですね」
墓石に刻まれた名前を確認する。
記された没年と合わせても、アニスの母親であるアミテさんに違いなかった。
あまり、管理は行き届いていないようだ。
アニスが供えたらしい、小さな花が枯れたまま放置されていた。
集落の専用墓地のようなものだ。
アニスの小屋からは遠く、集落の人が来ることもあって頻繁には来れないだろう。
だとしても、本来は集落に貢献した薬師だ。
集落の人々も感謝して、お墓の手入れやお墓参りでもしたって、悪いことなんてないはずだ。
なのに、このお墓の現状はなんなんだろう……
「……シンシアさん、お墓、綺麗にしませんか?」
「ええ、勿論ですわ」
そう言うと、シンシアさんはバケツに水を汲みにいった。
正直に言うなら、魔法で簡単に済ませることは出来る。
だけど、こういうのは効率どうこうではなく、気持ちなのだ。
私一人で簡単に済ませてしまえば、シンシアさんの気持ちは表せない。
だから、私も周囲の雑草を手で抜き始めた。
盆休み前で忙しい……この忙しさが収まるまでは、更新頻度が落ちそうです……




