勇者と救済者の違い
「”敵”の目的が私達の予想通り、アニスを殺すことなら、アニスを一人にしておくのは危険です。
アニスが生きていることに気づけば、また襲ってくる可能性があります」
「それは……確かにないとは言えないけど、アニスちゃんから接触するようなことはないんだし、
向こうが気付く可能性は低いんじゃないの?」
「いえ、可能性の高い低いじゃないんです。
どんなに小さな可能性でも、可能性がある限りはそうすべきなんです」
すると、ちーちゃんは目を大きく見開いた。
「……ちーちゃん?」
ちーちゃんは口元に手を当てて俯いたかと思うと、私を見据えた。
「……ああ、うん。そうだね。リーダーはクリスちゃんなんだし、決定には従うよ」
その言い方にひっかかりを感じないというのは無理があった。
「ちーちゃん、隠し事はなしにしましょう。何かあるなら、言って下さい」
「いや……ワタシは少し、大局的……効率ばかりを見ていたと思う」
「それは、わかりますけど……」
「いや、ううん。ワタシのやり方は犠牲を少なくするやり方なんだ。
でも、クリスちゃんのは犠牲が出ないやり方……
効率よりも何よりも、”人”にとってはそれが一番なんだよ」




