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不明瞭な予感
「思ったよりは、単純な仕掛けだったね。
これなら、道具さえあれば、誰でも出来たと思うけど」
「……」
いや、仕掛けそのものはそうかも知れないけど、狙いを付けるのはそうはいかないと思う。
それに距離を考えれば、それなりに大掛かりな仕掛け……強力なゴムが必要だ。
間にガラスがあるとはいえ、それの射出を喰らって、アニスが生きているのは、当たり所が良かった、そう考える他ないのだろうか……
「どうしたの、クリスちゃん?」
「あ、いや……」
考えすぎだろうか?
現時点では、このことに意味があるとも限らないし、不確かだ。
変に話題に出して混乱を生むよりは、自分の中で消化して、話す必要が出来た時でいい。
「なんでもないです。そろそろ、次の場所に行こうと思います――」
……いや、待って。
それはそうとしても、警戒は必要だ。
少なくとも、アニスが命を狙われている可能性は、ケアしなければならない。
「そっか、じゃあ……」
「……ちーちゃんは、ここに残っていて欲しいんです」
「え、どういうこと?」




