容易な犯行
私はアニスに話を聞かせてくれたお礼を言ったあと、外にいるちーちゃん達に声をかけた。
私は二人にアニスから聞いた話を、なるべく主観が混じらないように事実だけを述べた。
「……アミテさんは、『タルニア』だっけ?大きな街に行こうとしてたんだね」
「用件はなんだったんでしょう?」
「今となってはわかりませんが、集落から逃げようとしたか、
あるいは官憲に集落の実態を告発しようとしたというところでしょうか」
「後者だったなら、充分に消される理由にはなる、か」
「前者だとしても、集落の実態を知ってる人間をそのまま集落の外に出すとも思えません」
「閉鎖的な集落の状況を思えば、
不必要に外部と接触を図ろうとするだけでも、危険だと判断されかねませんわ」
「理由としては充分に考えられますね……そうなると、やっぱり、非合法組織が関与してそうですね。
不自然な病死はきっと、毒物の投与だと思います」
「そうだね。どうやって、アミテさんに投与したのかまでは、わからないけど、
それを手に入れるのは容易だろうね」
「非合法組織特有の独自のルートで調達することも、薬師のアミテさんが管理していたものでも、
それこそ、集落に蔓延している”アンデッド”でも、過剰摂取させれば、中毒状態は容易に作れますからね」




