フーダニットの誤認
「”誰がやったか”……?
それって、つまりは……それをごまかしたいってことですか?」
「ええ、状況を見るにある程度推測は出来ます」
「ま、多分違法薬物を生産してるっていう、非合法組織は関係してくるだろうね」
「そして、自分達が犯人だと悟られないために、回りくどい方法でアニスを……殺そうとしたんだと思います」
「どこまで、計算の内かはわからないけど、集落の人達とアニスちゃんの関係があったから、
集落の人を隠れ蓑にしたんだね」
「村から追い出されたアニスの立場を考えると、そう考えるのが自然ですね。
現に私達もつい先程まで、そう思っていた訳ですし」
「……」
シンシアさんはおぞましいものを見たかのような表情をしていた。
その中で、何かに気付いた顔をすると、ゆっくりと手を挙げた。
「あの、いいでしょうか……?」
「なに、急に改まっちゃって」
「いえ、仮にそうだとしたら……非合法組織はどうして、アニスちゃんを狙うんでしょうか?」
「それは……まだ、わからないですね。
そういう意味では、あくまでただの推測にすぎません」
そうは言いつつも、そうなのではないかと言う確信はあった。
こういう風に、事実が浮き彫りになった際、これまでがそうであったように……




