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調査開始
私は一度強く抱きしめると、離れた。
「えっと……”窓””調べる””いい””?”」
そう問いかけると、アニスは戸惑いながらも頷いた。
「”ありがとう”」
一昨日の夜、投石によって割れた窓は板を貼り付けて補修とも言えない補修がされていた。
「ええと、確か……」
「クリスちゃん、アニスちゃんが倒れていた場所は覚えてるの?」
「だいたいですけど……」
私は記憶を頼りに、覚えていた場所に立った。
「ここだったはずです」
「思ったよりは、窓から離れていますわね」
「多少はのこぞったりはしてるとは思いますが、ぶつかった位置とはそう変わらないと思います」
大きく位置が変わる程の衝撃なら、死んでいてもおかしくはない。
「え。でもそれって……」
ちーちゃんは窓と、アニスを交互に見比べた。
「どうしたんですか?」
「窓の割れた場所と、アニスちゃんの額の高さ……だいたい同じだよね?」
「?それは当たり前なのでは……」
「いや……それでいて、窓から離れたこの距離……石がほぼ垂直に来ている……!?」




