旅は道連れ
腹ごしらえも済ましたところで、そろそろ王都を発つことにした。
「ラン兄さん、お世話になりました。ラン兄さんの宿題、解けるよう、頑張ります」
「うむ……息災でな」
「ランパードさん、色々ありがとうございました」
セレナは正式にラン兄さんに断りをいれたあとだった。
「セレナ殿も、安息の地に至れることを願っているよ」
「はい、お世話になりました」
ラン兄さんに別れを言った、その時だった。
「クリシュナさん、待って下さい!」
声をしたほうから、馬車が走ってきた。
「シンシアさん!」
なんと、シンシアさん自身が馬車の手綱を引いていた。
「お礼もまだちゃんと言えてませんのに、急に旅立つなんて」
「あはは……私の役割はもう終わりましたから」
「それでも、お礼も言えずになんてあんまりです!ありがとう、クリシュナさん」
「どういたしまして」
「『剣聖』殿も色々とお世話になりました」
「うむ。元気そうでなによりです」
「セレーナさんも、助かりました。あなたの言葉がなければ、どうなったかわかりません」
「いえ、わたしは大したことしてませんし……」
「それにしても、わざわざ、お礼を言うために自分で馬車を?」
「いえ、違いますよ」
「あ、他になにか用事が?」
「クリシュナさん、私……アタシもご一緒させてください!」
「…………へ?」




