最強一家の末娘～鬱フラグブレイカーの救済録～

第１２章 衝突する少女

答えの出ない宿題

わかりきっていた結末。

私の速度では、ラン兄さんの速度には勝てない。

それは仮に私のほうが、発動が早くても同じことだ。

二撃目は初撃を防がれることで起点とする以上、

私が先に剣を振るったところで、それを防がれると同時に二撃目が発動する。

そう、本命の二撃目のタイミングは同時にならざるを得ない。

ならば、初撃をどうにかするかしかないと思うと、初撃は回避することは出来ない。

故に受け止めるしかないが、そうなると、最速の二撃目が来る。

どうしようもない袋小路。

発動された時点で、”詰み”となる文字通りの必殺技……

ここまで経験を積み、強くなったといっても、私は未だに突破口を見つけられずにいた。

それでも、私は愚直にこの宿題に挑み続けていた。

「……そもそも、私の模倣(わざ)とは精度が違うんだから、勝てるはずないのは当たり前か」

せめて、ラン兄さんと同等の精度が無ければ、話にならない。

……ならば、今の私の『偽・無形の型』が本物の『無形の型』に足りないものはなんだろう……？

そう思い、私は私自身を対戦相手に思い浮かべてみた。