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はじめてのお仕事 前編
家がある村は山奥の森にあった。
まずは森を抜け、一番近くの街『シュベルク』に向かうことにする。
私の旅に目的地はない。
アル兄さんの捜索に私自身の武者修行も兼ねている。
「ふんふーふん、ふーんふーふ、ふふんふーーふんふーー」
思わず明るいメロディーを鼻歌で歌う、
よくよく考えると私は無一文で家を出ていた。
食べるものは木の実や野生動物を狩れば、なんとでもなる。
宿は野宿でも構わないのだけど、そういう生活だと身なりが汚くなる。
兄を探すという目的上、聞き込みは大切だ。
汚い身なりの人間が話しかけてきたら、警戒して話をしてくれないかも知れない。
路銀を稼ぐ手立てを考えなければいけない。
「街についたら短期の仕事を探さないとなー」
そんなことを考えていると10km先に荷台に果物を乗せているリアカーが見えた。
力仕事なら、子供の頃から鍛えていたこともあって、得意だ。
話をして、手伝えないか聞いてみることにしよう。
実際にある歌を使うのはアレだと思ったので、鼻歌に差し換えています。