練習あるのみ
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「……と、まぁ、そんな訳なんや」
村に戻った私は蝶から話を聞いた。
勿論、私の事情に振り回された結果なのだから、そこに不満はない。
「じゃあ、数日でも待っていれば、その内戻ってくるんだよね?」
「予定では、そうやで」
「それなら、待つしかないね。滞在費は大丈夫?」
「そら勿論、前払いで払ってくれとるで」
「じゃあ、逆に言えば、それまでには戻ってくる、か」
時間はいくらでも必要だ。
『ショット・マグナム』をモノにする時間。
ラン兄さんからの課題。
馬車の上ではイメージトレーニングぐらいしか出来ないのだから、練習時間に当てればいい。
そう思い、私はただ、待つことを選択した。
――三日後。
「『ショット・マグナム』ッ!」
森の中を一迅の風が吹き抜ける。
「……」
私は右手を突きだしたまま、放った気功の行方を見守っていた。
なんとか、形らしい形にはなった。
それでも、練度が遠く及ばない。
当たり前と言えば、当たり前。
ミカ姉さんはポイントとして、気功を圧縮出来るだけ圧縮することだと言っていた。
ミカ姉さんとそれと比べれば、まだまだ甘い。
そんなことはわかっていても、今以上精密な操作が叶わず。
辛うじて掌に収まるサイズにしかならなかった。




