いつか語られる出来事
「この辺りだと一番近いのは……」
「リオ姉ぇね。『フォーグログ』で、国立学校の理事をやってるはずだわ」
「リオ姉さん、ですか」
リオ姉さんは、かつてお母さんの『聖女』を受け継ごうと、シスターになったはずだ。
しかし、思うところがあったのか、途中で進むべき道を変え、教会騎士になり、
いまや、『聖騎士』……教会騎士の最高位にまで上り詰めたはずだ。
「学校の先生になったんですね。それは知りませんでした」
「ああ……モンスターがいなくなったからね。人間同士の争いはごめんだって、後進の教育に進んだらしい」
「じゃあ、やっぱり教会騎士の学校に?」
「いや、聖教会の総合的な学校だってさ」
教会騎士は聖教会直属の軍部隊だ。
つまり、聖教会は大元。
後進に退いたといっても、地位としては順調に上り詰めているように思える。
「姉だということは置いても……神に仕える者が、裏世界と通じるんでしょうか?」
「……」
すると、ミカ姉さんは、ふぅ、と息を吐き出した。
「それは自分の目で確かめるといいよ」
「勿論、そのつもりです」
私はまだ、この時、ミカ姉さんの言葉の意味に気付けていなかった。
そう、その目で確かめる時までは……
「とにかく、任せたよ。アタシはアタシのやることをするからさ」
「はい……!」




