スイッチを入れろ
「まぁ、アンタはそんなこと考えなくていい。アンタはそれでいいんだよ」
「……」
そんなことを言われても、はいそうですかと頭を切り替えれるはずもない。
それでも与えられた役割をこなさないといけない。
私にきょうだい達を探ることなんて、出来るだろうか……?
「……正直、自信がありません」
「そう……それでも、いいわ」
「え?」
「どっちにしろ、アンタにしか出来ないんだから、アンタに任すしかない。
上手く出来なかったとしても、他に選択肢はないんだから……」
「……」
「そう気負わなくてもいいわ。アタシだって、交換条件だって言って、失敗する可能性がない訳じゃない。
だけど、もちろん全力を尽くすつもりよ。
アンタはアンタの出来ることを精一杯やってくれたらいい」
「ミカ姉さん」
「……気合をいれなさい!失敗してもいいから、どんといきなさい!」
「は、はいっ…………よし!」
すぅ……と深呼吸をすると私は両手で自分の両頬を叩いた。
「切り替えます。アル兄さんに辿りつくには必要なことですから!」
暫く道場にいたかろうだろうが。
そういう道場特有の根性だとか気合とかの雰囲気にいつの間にか染まっているのかも知れない。
それの良し悪しは置いておいても、今の自分を奮い立たせるには充分だった。




