勝負師
扉が開いたことに気付いたアルベルト王子は、顔に乗せていた本を右手ですくいあげるように持ち上げた。
「ン……お茶は別に頼んでいないけど」
思わぬ言葉に、返答につまった私を相方が肩を押すようにして、前に進み出た。
「アルベルト……王子……」
「…………なっ!?アイナ!なんで、あんたがここにいる!?」
アルベルト王子は飛び起きるようにして、立ち上がった。
「”なんで”って、どういう意味ですか?」
「えっ……」
「どうして、私がここに――王都にいないと思ったのですか?」
その追及はよくない。
王宮にいることの時点でおかしいのだ。
そう言い逃れられると反論できない。
しかし――
「!!………………まさか、”シナリオ”に影響が!?」
アルベルト王子の反応は予想外のものだった。
「――――どうしてそう思うんですか?」
相方は慎重に言葉を選んでいるようだった。
「シンシアの処刑……あの時に現れた変な集団――あれで狂ったのか?」
「……だとしたら、どうします?」
全てはボロを出させるためのブラフとハッタリだ。
それだけで上手く立ち回ろうとしている。
「どうって……それじゃあ、僕の計画も練り直さないといけないだろ!?」
!?
「あなたの計画――ベルグマン王子の殺害ですか?」
勝負所での渾身の一手――
「そうだよ!」
――それが、アルベルト王子の急所をとらえた。




