”王道”を往く
予想通り、メイド服の予備があった。
私達はそれに着替えて、探索を開始した。
王子なのだから、自室にいてもおかしくないだろう。
それは今いる、入り組んだ場所ではなく、恐らく玄関ホールから続く本筋――正面の道からいけるような、
”王道”から枝分かれするような場所のはずだ。
ちなみにシンシアさんはアルベルト王子の自室には行ったことはないらしい。
婚約者とはいえ、王族と貴族である以上、軽々しくそういった接触は出来ないそうだ。
途中、他の使用人らしき人と何度かすれ違ったものの、呼び止められることはなかった。
魔法の視覚誤認で人相を変えているのもあるが、
恐らくこの王宮規模では一人一人の顔まで全て覚えられる人間はそう多くはないだろう。
そうこうしている内に他のフロアとは装飾のランクが違うフロアに来た。
美術品や獣のはく製が置いてあったりと、他の事務的な場所と違い、王族のプライベートな場所だと思えた。
その中を歩いていると、相方が歩みを止め、ある一室を指差した。
「……あの部屋、だと思います。あの扉に刻まれた紋章はアルベルト王子独自のもの、
そして、隣に飾られている鎧は彼の趣味です」
私はその扉に手をかざして、気功を放った。
「……中には一人。ソファーで横になってくつろいでいるから、使用人ではないはずです」
私達は互いを見合って、うなずいた。
扉を開けると、気功で感じ取った通り、顔を読みかけの本で覆った青年がソファーで横になっていた。




