王宮内へ
門を通り、レンガ造りの道をまっすぐ進む。
門を越えてから、宮殿までは長かった。
途中に庭園や噴水や、別館なども複数あり、王宮自体の規模の大きさが窺い知れた。
一番奥の大きな宮殿が本館だった。
そこにも門番として衛兵が居たが、ラン兄さんが一言二言話しただけで、すんなり通ることが出来た。
宮殿に入るとまず目に飛び込んできたのは、今まで見たこともない大きさのシャンデリアだった。
それが、玄関ホールの中央に吊るされ、ひときわ大きな存在感を放っていた。
流石に玄関ホールで、別行動するのは怪しい。
私は自重してそのまま、ラン兄さんについていく。
大きな建物だが、通い慣れているからだろう、ラン兄さんは、迷いなく歩みを進めていた。
入り組んだ廊下の先に女子更衣室の札を見つけた。
王宮の使用人――メイドに扮装すれば、単独行動もおかしくないだろう。
私は周囲に他の目がないことを確認し、一人を連れて更衣室の前に向かった。
ドアに手を当て、微弱な気功を波状に放つ、反響していた微弱な反応を見て、
中が無人であることが確認出来た。
更衣室の中に入ると、思わずため息が出た。
ひとまず、上手く潜入出来たことからの安堵だった。
ただ、本番はまだこれからなのだけど――