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クイックドロウ
「ふっ!」
キュウさんは掌底を繰り出してくる。
私はそれを迎撃しようと拳を繰り出し――
「――」
「!?」
掌底を引かれ、空ぶった。
そして、拳を繰り出したことで、私のガードが解かれた脇腹に掌底が打ち込まれた。
「うぐっ!」
私は咄嗟に後ろに飛び退くことでダメージを軽減した。
「……ふむ、クリスさんにも通用するようですね」
「フェイント!?」
「ですが、捕らえきることは出来ませんでしたか」
すると、キュウさんは両手をぐっと後ろに振り絞った。
「!」
先ほどと同じなら片方の手はブラフのはずだ。
私は両方の手への注意をそらすまいと集中した。
「はっ!」
しかし、同時に迫る両の掌底。
それをガードしようと両腕を構えた瞬間、意識の薄かった、左足を蹴りで狩られた。
「!?」
「貰った!」
体勢を崩した私に、キュウさんの掌底は円の動きをし、私の額と胸の中心を打たんと迫った。
「――『疾風脚』!」
私は倒れながらも、自由な右足でキュウさんの顎を狙う。
「!」
が、寸前のところでキュウさんは攻撃を中止して、後ろにスライドした。




