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横綱相撲を取れないもの達
「『扇風閃』!」
「!」
私の放った風の拳を、キュウさんは風の水平チョップで相殺した。
「っと!」
思考が乱れ、途切れそうになった私は咄嗟に飛び退いて、距離をとった。
「気功術ではない技を……」
「心外ですね、自分とて気功だけを鍛えている訳ではありませんよ?」
そう言われれば、その通りなのだが、どうにもキュウさんは気功特化というか――
「私には、気功のみを追い求める、求道者のように見えていました」
すると、キュウさんは目を丸くしたかと思うと、ふっ、と自嘲気味に笑った。
「自分のような半端者は、一つのことを極めれはしませんよ」
「……!」
まるで、私のようなことを言う……
「自分が未熟であることは承知しています。
されど、未熟だからこそ……それを認めたからこそ、出来ることがあるのです
「!」
僅かに、ほんの些細な変化だが、キュウさんの構えが変わった。
「では、今度はこちらから行きますよ……!」
基本系が受けであり、得意分野の気功も使わないといった、キュウさん。
その彼が、宣言する攻めに私は不気味なものを感じて、構えを深くした。




