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野に生える
「あ、もしかして、このお茶も……?」
今まで味わったことのないお茶だった。
パラガム特有のものかと思っていたけど……
「そうですね、この辺りで摘んだ、所謂、野草茶なんですが、これは故郷で身につけた知識です」
「へぇ……野草でこんな風味を出せるんですね」
「こういう山奥だと役に立つ知識ですよ、中には雑草茶という人もいますが……」
「そうなんですか、雑草というには、上品な風味をしてると思いますが」
「ええ、そうなんですよ!そもそも雑草という草はなくてですね……」
そこからのトウコさんの熱量はすさまじかった。
私に大して、野草の知識を延々と講釈してくれた。
勉強にはなったので、苦痛という訳ではなかったけど……
「……ありがとうございます、旅をしているので、役立ちそうな話でした」
と言っても、流石に聞き続けていると辛くなってきたので、切りあげる為にそうお礼を言った。
「そう言ってもらえて、よかったです!」
いい息抜きになった。
これで、また……
「これで、なにかを掴んでくれたらいいですが」
「……!」




