朝食会議
食卓に着くと、他の皆は既に到着していた。
「私が最後みたいですね。ごめんなさい」
「別にクリスさんが遅れた訳ではありませんよ」
「そうだな。朝食の用意も今出来たところのようだ。クリス、席に着きなさい」
「は、はい」
……
朝食をとりはじめて、しばらくしたところで、ラン兄さんが口を開いた。
「シンシア嬢の件だが……こちらの権限で、ある程度、王宮内を探ることは出来る。
しかし、相手が王子となると真相の究明は困難であると言わざるをえないだろう」
「ラン兄さんの権限……『剣聖』としての立場ですよね?」
「然り。王宮兵士の剣術顧問として、王宮への出入りや、使者を放つことは出来る」
「では、使者として私を送りだすことは出来ますか?」
「出来ない訳ではない。だが、使者といえど怪しい動きをすれば、どうなるかわからぬぞ?
ましてや、相手は王子となれば、尚更な」
「ううん……」
確かに、王宮の警備を考えると下手な行動は出来ない。
だけど、一晩考えて、突破口は王宮にしかないと思えた。
「……あの、いいでしょうか?」
そう言って、手を挙げたのはセレナだった。
「どうしたの?」
「わたし、思ったんですが、王宮に入るというより、
アルベルト王子に接触するしかないと思うんです」
「接触……しちゃうの?」
「周辺を調べても、証拠を消されてたら、それで終わりじゃないですか。
だから……ボロを出させるしか、ないと思うんです」