お悩み相談
「あの……不躾なことであるのは重々承知してはいるのですが……」
「……なんでしょうか?」
「私が皆さんと同じ修練をすることに、どんな意味があるのでしょうか?」
一瞬、キュウさんの眉が動いたが、すぐにその口元はふぅと息を吹きだし、笑顔を作ってみせた。
「師範からは、基礎からやりなおすことを言付かったのでしょう?
今日行ったものは基本的な修練ですよ」
「ええ、そうなんです。
ですが……その……物足りないんです、皆さんと同じ修練では自分を追い込むところまではいけないんです」
「……成る程、確かにクリスさんの身体能力を考えると、そうなるのもおかしくはないでしょう」
「はい……」
しかし、キュウさんはふっと息を吹きだすと、大きく首を振った。
「自分に師範の考えは到底思い至れません。ですが、師範は無意味なことを教える方ではございません」
「……!」
「きっと、姉君として接したクリスさんも、それはご存知なのではないですか?」
「……はい」
「師範の考えをはかることは出来ませんが、何か意図があってのことでしょう。
ならば、やるべきことは一つではないですか?」
「それが分かるまで、続けること、ですか」
「ええ、その通りです」




