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鋼鉄の弾丸
「アンタのソレはまだ不完全……真の意味では会得出来ていない」
「そ、それは一体……?」
「そうね……」
ミカ師範は辺りを見渡すと、外の切り株に刺さっていた斧を見つけた。
そして、片手で切り株から斧を引き抜いた。
「錆びに刃こぼれ……手入れしてもいいけど、買い替え時ね」
そう呟くと、ミカ師範は斧を空に高く放り投げた。
「一度くらいは見せてあげるわ……受け止めなさい」
「……え?」
斧がミカ師範の肩の高さまで、落ちてきた瞬間、彼女はその斧を打ち抜いた。
そう、打ち抜いたのだ。
ミカ師範の拳大の鉄塊が私に向けて、弾丸のように放たれた。
「っ!?」
私は咄嗟に両手で受け止める。
しかし、咄嗟故に踏ん張りが聞かず、1m程後ろに吹っ飛んだ。
「これは……」
「ま、この程度は出来るようになりなさい」
単純な力……それだけでは無理だ。
ミカ師範は固定されていない、空中の斧を打ち抜いたのだ。
どんなに力・速度・硬度が拳にあろうとも
打ち抜くより先に斧自体が吹き飛ぶ。
「ヒントには充分でしょ、あとは自分でやりなさい」




