斬り裂く
「はっっっ!」
敵の防御、そして気功の流れは円が軸になっている。
つまり、その動きを封じてしまえば――!!
「っ!?」
驚きは当然敵の側。
私は左肘と右足でそれぞれ円を描く敵の両手を抑えた。
そして、自由な右の拳を叩き込んで――
「くぅっ!」
敵は抑え込んだ左手両足を投げようと無理矢理回転させる。
しかし、それも想定の内だ。
その回転さえ利用し必殺の一撃を脳天に叩き込む――
「おおおおおおっ!!」
だがそれさえも敵は気功を防壁にして受け止める。
それが、最後の”起点”。
「『無刀』――」
何度も対策し、何度も想像し、何度も模倣した――
だから、この土壇場でも、思考さえままならなくても、出すことが出来る。
「う――!?」
初めて青ざめる敵。
蛇のように敵を斬る、必殺の一閃を見舞う。
「――『偽・無形の型』っ!!」
走る手刀。
敵は必死に後退する。
それを逃がさぬからこその必殺――
そう、本来の間合いだったならば。
あくまで、剣の技を徒手空拳で放った。
どうしても、その範囲は狭くなる。
必殺であった一閃は敵の胸元を斬り裂くにとどめた――
キュウは修行僧→坊さん→一休という感じで考えたので、頭を丸めた男性にしました。
しかし、お約束としては胸元斬り裂くなら女性だよな、と思ったり。
今の章以降出番はない予定なので、あとから変えるかもしれません。




