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恐るべき、”敵”
目の前のことが信じられず、思考と身体の反応が一致しない。
完全にフィニッシュブローを放ったと思った私の身体は驚きも混じったことで弛緩し、
あろうことか全くの無防備となっていた。
だが、問題はないはずだ。
完全に背後をとっていた。
かろうじて躱すことが出来たとしても、反撃までに若干の猶予はある。
だから、落ち着いて距離を取れば、仕切り直しだ。
それが、通常の相手だったならば――
「ぜあッ!!」
「!?」
キュウさん――敵は不自然な体勢のまま腕を鞭のように振るっていた。
そして、その腕は人体の構造ではあり得ない軌道を描き、私の顎を掌底で正確に打ち抜いた。
「!?!!!?!!?????!???!!?」
言葉も出ない。
ピンポイントに顎の中心を打ち抜かれ、私の脳は揺さぶられ、床に膝をつかざるをえなくなった。
そのまま、両手を床に叩きつけ、かろうじて、そのまま倒れ込むことを耐えた。
その横で”敵”は体勢を立て直す気配を感じ、
私は咄嗟に両手両足で床を叩いて跳躍し、不恰好ながらも、かろうじて距離を取った。




