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本当の実力は
私は息をふーっと吐き出し、構え直した。
「それなら、もう一度です……!」
魔法と武術、気功のコンビネーションは有効なはずだ。
「『アイシクル・スピア』!」
牽制変わりに放った氷の刃――
「この程度!」
キュウさんはなんなく受け止めた。
しかし、それは起点だ。
「――『ブレイク』!」
瞬間、氷は内側からはじけ飛んだ。
「っ!」
氷自体は大きなダメージを与えてはいない。
しかし、一瞬キュウさんの気をそらし、視界を奪った。
戦いにおいて、その一瞬は重大な意味を持つ。
「はぁっ!」
「うっ、正面!?」
キュウさんは咄嗟に気功の防御壁を張って、防いだ。
風魔法の突撃を――
そして、私はその隙をつき、背後を取っていた。
「――とった!」
「!?」
完全に不意を突いた一撃。
事ここに至れば、技は必要ない。
力任せの手刀が水平にキュウさんの腰を砕く。
はず、なのに――
私の一撃は空ぶっていた。
「え」
キュウさんが消えた訳じゃない彼は目の前にいる。
上体を不自然に捻り、完全に躱していた。
絶対に回避不可能と思えたタイミングで、だった。




