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魔導拳
「がっ、ふっ!!」
捻りあげられるように宙に打ちあがるキュウさん。
まだだ、これでは決定打には届かない――!
「『エアスト』――」
ラン兄さんは言った、私には複合的な戦い方が必要だと。
「――『瞬風脚』!」
こういうことなのか、風魔法を乗せた蹴りならば――
「くっ!」
「はぁっ!」
キュウさんは咄嗟に気功でガードするが、その気功を破り――その身に届く!
「うぐっ!!」
吹っ飛んだキュウさんは床に叩きつけられながら、端の壁にまで滑るように転がっていった。
私は道場の中心に着地すると、それ以上の追撃をかけずにキュウさんを見守った。
「流石に……一撃が重いですね……」
壁を支えによろっと立ち上がるキュウさん。
「ですが、まだです……ふっ!」
自身に気功を打ち込むことで肉体の回復を図った。
まだ、負けを認めてはくれないということか。
私が再度構えを取った時だった。
「キュウ!」
ミカ姉さんが声を張り上げる。
思わず私もキュウさんもミカ姉さんを見た。
「手を抜いてんじゃないよ!」




