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盾を貫く矛の如く
「ほう、剣を抜きますか?」
「……それは私の矜持です。抜きません」
あくまで、徒手空拳。
その中で、別の戦いかたというと――
「『ジャイロ・エアスピット』!」
魔法だ。
「ほう、これは中々……!」
気功の粒子で受け止めるキュウさん。
しかし、先ほどとは勝手が違う。
衝撃を殺しきれず、つま先が浮くのが見えた。
効果はある。
ならば、追撃するのみだ。
「『フェニックス』!」
風の輪の中心に火の鳥を打ち込む。
暴風が炎を帯び、キュウさんの腕の中で膨らむ。
「く、うっ……!」
気功でそれを押しつぶさんとするキュウさん。
しかし、血管が浮き出るほどに力を必要としている。
ならば、さらにそこに追撃を加える――!
「『フェニックス――――ライド』!」
この身、そのものでその守りを打ち抜く!
さらなる負荷に、鉄壁にも思えたキュウさんの守りが僅かに綻ぶ。
僅かと言えど、そこからは簡単だ。
割れた器から水があふれるように――
「はぁぁああああっ!」
「ぐ、ぐぐぐぐぐ、あっ!」
気功の渦に炎をはがされながらも、私の拳は気功の輪の真ん中を打ち破り――
ズドン、と、キュウさんの腹部を打ち抜いた。




