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現実と戦うモノ
駄目だ、攻めなければ、突破口を開けない。
「『気功波』!」
粒子の輪ごと打ち抜かんと渾身の一波を見舞う。
「これは……しかし!」
「!」
それをキュウさんは真正面から受けた。
厳密には気功の粒子で、だが。
「く、ぐっ……」
腰を入れて、さらに気功波を押し込む。
しかし、キュウさんの牙城を崩すことは出来ず、ついには息切れして、膝をついてしまった。
「はぁ……はぁ……」
「成る程、なかなかの威力です。しかし、力任せにくるだけでは破れはしません」
キュウさんはというと、息一つ乱していない。
私はふっと自嘲気味に笑った。
「どうやら、どうしても気功術に関しては貴方が上のようです」
まずはその事実を受け入れる、そして、冷静になって考えることだ。
「……まだ、勝負はついてはないと思うのですが」
いつだってそうだ。一つを極めたものと戦う時――――
「もちろん、まだです。だって――――」
――――同じ土俵で戦う必要はないのだから。
「―――同じ土俵で戦う必要はないのですから」




