42/1085
力の差 後編
無防備をさらし、空中に舞う私。
ラン兄さんが追撃をしないのはそういう約束というだけだ。
堪らず、私は咄嗟に気功を放った。
「『気功波』っ！」
魔法と違い核のない、エネルギー体――だが、ラン兄さんはそれも剣で受け流してしまった。
「『フェニックス』――」
そのまま魔法の火の鳥を解き放つ。
「――『ライド』！」
そして、すぐに同化してラン兄さんの元へと降下する――
「頭を冷やせと言ってるだろう？」
だが、魔法は無意味だ。
当たり前の様に核を貫き、纏ったはずの火の鳥は消滅していた。
「――はぁっ！」
私は床に着地するや否やなり振り構わず剣を叩き込もうとするが――
「そんな太刀筋では！」
「あっ！？」
ラン兄さんの一振りで竹刀をはじき飛ばされてしまった。
だけど、ここで手を緩める訳にはいかない。
「『疾風拳』！」
今度こそと最速の拳を叩き込もうとし、またもや剣で流され、
私は勢いそのままラン兄さんの後方へと舞っていた。
「――」
空中で前転をし、足から着地しようとする。
しかし、冷静さを失っていた私は回りきれず、無様なまでに背中から床に叩きつけられた。
「うぐっ！」
「ここまでだ、クリス！」
「うっ…………は、はい……」
