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土星の輪の様に
「っ!」
私は構えを深く身構えた。
しかし、キュウさんは動かない。
動かないまま、風圧が私の髪先に迫った。
「っっっ!!」
咄嗟にしゃがんで躱した。
僅かに髪をかすめただけで済む、しかし、次弾はすでに迫っていた。
「くっ……!」
腕でガードして直撃は避けた。
多少ダメージは受けたものの、それでからくりがわかった。
「気功……!」
しかしながら、直前まで察知することが出来なかった。
威力のある気功波なら、視認出来るほどの色を帯びるというのに。
「流石ですね。防いだだけでなく、正体まで掴みましたか」
そうは言うものの、キュウさんの言葉に焦りは微塵も感じられない。
私は注意深く、キュウさんを観察する。
すると、まるで微粒子のような細かい気功がキュウさんの前方を守るように円状に渦巻いていた。
「これは……どういうこと?」
あんなに細かい気功を一つ一つ扱えるなんて知らない。
そんな事が出来るとすら思っていなかった。
「おや、それでも攻めてはこないのですか?」




