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徒手空拳
私とミカ姉さんは互いの目を見つめ合った。
そして、ミカ姉さんは本気であることを悟った。
「……わかりました」
私は道場の中に足を踏み入れた。
「勝敗は……そうね。どちらかが負けを認めるか気を失うまでとしましょうか」
ミカ姉さんの提案に私とキュウと呼ばれた男性は頷いた。
「構いません」
「心得ました」
私とキュウさんが対峙すると他の門下生たちが観戦の為に取り囲んだ。
ざわめきが観衆達から聞こえる。
「静かにっ!」
しかし、ミカ姉さんの一喝で一瞬で静まり返った。
私は腰に下げていた剣を外すと、その場に置いた。
「剣は使わないのですか?」
キュウさんはそう問いかけてくる。
「貴方は素手なのでしょう?」
「ええ」
「なら、私もそれに倣います」
「……そうですか」
その時、ふっ、とミカ姉さんが笑った。
「あえて、勝つ可能性を下げるのかい」
「でなければ、認めないでしょう?」
「さて、それはどうかしら」
「え?」
すると、ミカ姉さんはパチンと指を鳴らした。
「キュウ、剣を使ってきても破りなさい」
「畏まり」
「っ……!」




