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戦力外通告
「熊を避けずに倒してきたやつがいるって聞いたが、アンタだったか」
ミカ姉さんはエル兄さんの双子の姉だ。
だけど、エル兄さんとは対照的に、その…………小柄な人だ。
「ミカ姉さん、会いたかったです」
「2年ぶりくらいかね。それで、どうかしたのかい?
わざわざ、顔見にこんなとこまで、来たとは思えないけど」
「……アル兄さんの消息はつかめてませんか?」
すると、ミカ姉さんの表情は険しくなった。
「誰の入れ知恵だい?」
「え、その……エル兄さんに聞いて」
ミカ姉さんは大きくため息を吐いた。
「ったく、あの馬鹿は……」
「ミカ姉さん?」
「…………」
ミカ姉さんは腕を組んで、考える素振りを見せた。
「……うん。アンタにはまだ早い」
「え」
「きょうだい達の中でアンタはまだ何者でもない」
確かに私には「剣聖」や「戦闘の達人」と言った極めた称号はない。
「だから、何者かになって、出直してきな、話はそれからだ」
「そんな!せっかくここまで来たのに、納得できません!」
「それは、ま、ご苦労さんだったね」
「っ!」




