力の差 中編
「――――」
ラン兄さんは予想通り、先頭の風魔法の核を貫いた。
だが、後追いの炎と私自身まで対処は――
「ふっ、室内で使う魔法ではないぞ」
ラン兄さんはそのまま『ジャイロエアスピット』を消さずに剣の動きだけでコントロールし、
『インフェルノバスター』を受け止めたかと思うと、二つの魔法の核を同時に貫いた。
「!!」
これが、『剣聖』の技なのか――!!
その事実に驚きつつも、私は最速の剣を叩き込もうと迫り――
「!?」
私の竹刀はラン兄さんの竹刀で受け止められたかと思うと、
私はいつの間にかラン兄さんの背後に流されていた。
「あ……え……?」
「どうした?これで終わりではないだろう?」
ラン兄さんは私の方へと向き直る。
――おかしな話だ。
ラン兄さんは向き直るこの時まで一歩たりとも動いていなかった。
「っ!『隼剣・彗星連撃』!」
床を蹴り、がむしゃらに斬りかかる。
渾身の力を込めて何度も振り抜く、高速の刃――それをラン兄さんは全て受け止めて、
否、受け流していた。
「うぁあああっ!」
だが、駄目。
ラン兄さんは全て柳のように受け流し、剣を受け止めたという衝撃・手ごたえさえなかった。
「少し落ち着いたほうがいい」
「あ――え」
下から振り上げる私の竹刀に合わせて、ラン兄さんも竹刀を振り上げると、私は宙に舞っていた。




