幕間・ある少女の物語 6
いけっ……!死んでしまえ……っ!!
そんな思いと共に男のもとに家具が叩きつけられる。
激しい音ととも埃が舞い、家具の割れた木片が散乱した。
埃が収まると同時に中心で家具の残骸に埋もれて前のめりに倒れた男の姿が見えた。
「やった……!」
気を緩めそうになったが、すぐにまだ早いと思い直した。
まだ、気を失ってるだけかも知れない。
今のうちに確実にとどめをささなければ、そう思い震える手でナイフを握り直した。
一歩一歩慎重に男に近づく……
微かな物音でさえも今は聞かせたくない。
そして、男の頭の前に立つと、その首にめがけて、ナイフを大きく振りかぶった――――
――――と、同時に男は起き上がった。
「うああああっ!」
ナイフを振り下ろすが手首ごと男に掴まれた。
しまった、と考えるより先に男はもう片方の手であたしの首を掴んだ。
「あ…………ッ」
「このクソガキがっ!!舐めた真似をしてくれたなっ!!」
男は所々血塗れになりつつも、大人の腕力であたしの首を締め上げる。
”重さ”が足りなかったのかも知れない。
あたしの力では家にあった”木製”の家具しか吊り上げることが出来なかった。
男を殺すには”石”や”鉄”が必要だったのだろう。




