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幕間・ある少女の物語 2
そう、もっていてもどうしようもない、のだが……
「ま、お金はお金か」
間違いなのか、なにか意図があってかはわからない、
まさか、嫌がらせということはないだろう。
せっかく貰ったものだ。
使えないからと言って、捨てる訳にはいかない。
あたしは、売上とは分けて、硬貨をポケットに突っ込んだ。
それはそうとして、だ……
「はぁ……どうしたものかなぁ……」
一日の売上はどんなに儲かっても1万ルドーには届かない。
あくまで、売上なので、利益はその3分の1程だ。
それでも、日々の食事代はなんとかなるし、体調不良の時は休めないこともない。
死んだ両親が家を残してくれたこともあって、暮らしていくだけなら、それだけでどうにかなっている。
問題は――
「300万ルドーなんて作れるはずがない……よ」
お父さんが、新しくお店を始めるつもりだったのは知っていた。
そのためにお金を借りるというのはわかる。
でも、まさか、そのお父さんもお母さんも死んでから、
あたしに返済を迫ってくるなんて思ってもみなかった……!




