詭弁と救い
「えっと、どういうこと?どうとらえたらいいの?」
ちーちゃんが微妙な顔をしている。
私はその表情を見て、ふっと口だけで笑った。
「なにもないですよ。言った通りです、助けを求めていないから助けません?」
「え、じゃあ、助けが必要になったら?」
「必要ありません」
「どうして?」
「助けるまでもなく……彼女は助かるんですよ」
ちーちゃんは、はっとした顔で私を見た。
「なにかしたの!?」
私はその視線を避けるように背を向けた。
「さぁ、どうでしょうか?」
「――”助ける”んじゃなく、”助かる”なんて詭弁じゃない」
「そうなんでしょうか、まぁ、流石にあとのことまで知れませんし、知りません。
そこまでは面倒見ることは出来ませんから」
「っ!だから、そんな言い回しをしたの?」
「……」
私はその問いには答えず、手元で100ウェン硬貨を遊ばせた。
「クリスちゃん?」
「まぁ、いいじゃないですか。
これでこの話はおしまいです。この先はわからないんですから」
「……」
「用事はこれで、おしまいです。帰りましょう。
それともどこかで手合わせしますか?」
「いいよ、そうしよう。
このままじゃ、どうにもむしゃくしゃする……!」
そう眉を吊り上げるちーちゃんを見て、私は苦笑した。




