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片付けたいこと
「んー!」
ちーちゃんが大きく伸びをした。
元入門希望者の人は、とてもネガティブな人だった。
もしかしたら、入門が叶わなかったことが原因なのかも知れないが、
何度も落ち込んで、自分の世界に陥り、まともな話にならなくなるのを何度も励ます羽目になった。
一応、それ以上のことは何もしていないが、酷く労力を消耗した感はあった。
「それじゃあ、私はこれから積み荷の売買に行って参りますわ」
「あ、そうなんですか?」
「ええ、今からでしたら、この街の分は今日中に捌けますし」
「今日中……じゃあ、明日には出発出来そうですね」
「ええ、目的地がはっきりした以上、あまり時間もかける訳にはいきませんわ」
「別に急かしはしませんよ」
実際、シンシアさんの資金のやりくりには助かっている。
というより、大元はシンシアさんの持ち出しに甘えているような形でもある。
文句など言えようはずもなかった。
「私は私の出来ることをやっているだけですわ。
お気になさらず」
「でも、無理はしないで下さいね」
「重々承知してますわ」
元入門希望者の話は余り面白くなりそうにないので、省略ということで。




