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”考え”と考えていること
「思考を共有……テレパシーのようなものでしょうか」
「うーん……というよりは、セレーナはんが殆ど考えて、わたしが口にしてる割合が大きいな。
結局のところ、わたしは半分虫のままやから、そこまで考えるだけの頭はないし」
「固定電話の親機と子機みたいな関係じゃないかな」
「なるほど」
二人が何を言ってるのか知らないはずなのに、なんとなくニュアンスは伝わっていた。
「……うん?ちょっと待って、貴女の言葉がセレナのものなの!?」
「あー……厳密にはそれもちゃうねん。実際に口に出すのは”わたし”や。
人格はセレーナはんとは異なるし、セレーナはんの”考えてること”は分かっても、
セレーナはんの”考え”までは伺い知れへん」
「思った以上に複雑な関係ですのね」
それでよかったとも言える。
仮に蝶の言葉が全て、セレナのものだったら、それはそれでショックを受けていただろう。
「でも、貴女を通して、セレナの考えを聞くことは出来るんでしょ!?」
「せやな。頭の中で話し合いは出来るんやから、意識したらいけるやろ」




