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汝、創造主を敬い給え
「そんな訳で、そのまま蛹を経て、無事蝶になれた訳やな」
「無事?」
「蝶?」
「なれたって言えるのでしょうか?」
「なんやねん!どう見ても蝶やろが!」
「えっと……」
「これについては不毛ですから、そういうことにしておきましょう」
「そうですわね……」
「でも、一応これであんたがヒト化……妖精化?した理由はわかったよ」
「せやろな」
「……ところで、思考がヒト寄りになってる気がしますね。
セレナを育ての親と表現する辺り」
「そうですわね。普通の蝶や芋虫に思考回路はないのかも知れませんが、
もしあったとしても、単なるエサだとしか認識しないと思いますわ」
「ま、この頭は飾りやないと言うこっちゃな」
セレナ蝶は自分の額を指でこつこつと叩いた。
「だとしても、セレナちゃんに対する恩義が深い気がするね」
「仮にヒトだとしても、そこまで考えが至るのでしょうか?」
「……わたしをそんぞそこらの馬の骨と一緒にせんで欲しいなぁ」
返答の前の一瞬の間、そこに違和感を抱いた。
「貴女、まだ話してないことがあるんじゃないの?」




