至極当然の突然変異
「いやぁ、セレーナはんって草木の香りがするやろ?
そのせいなんやろうけど、わたしの産みの親のほうのオカンが何を血迷ったんか、
セレーナはんの結晶に卵を産んでん」
「卵……じゃあ、産みの親って?」
「そら、蝶の親は蝶やろ」
「その蝶って、普通の蝶なんですか?」
「せやで」
「じゃあ、その姿はなんなの!?」
「そんな焦らんでも、最後まで聞いたらええやん」
「む……」
ちーちゃんは口をつぐんだ。
「そんで、卵から孵化して芋虫になったわたしやけど、
当然食べ物になる葉っぱなんて、結晶の上にはないやろ」
「まぁ、そうですわね」
「しゃーないから、駄目元でセレーナはんの結晶を食べてみたわけや、臭いは草木に近いしな。
すると、意外や意外、食べれれてん」
「……なるほど」
結晶と言っても、魔石に近い性質上、私が口に含んでみせたように咀嚼は可能だろう。
もっとも、幼虫にも可能だとは思っていなかったけど。
「でな、そのまま、結晶をエサにさせてもらってたんやけど、徐々に身体が芋虫から、
こういう人型に変わっていった訳やな」
「変異……確かにまともに魔力も持たない芋虫が、
ヒトの魔力の影響を受け続ければそうもなる……いや、なったという方が正しいですね」
「余り想像したくないですわね。興味深い現象なのでしょうけど」




