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地味な問題
その日の夕食――
「こちら、サービスのデザートですんで」
――浴場
「サービスで、浴槽にフルーツの皮を浮かべておりますので」
――寝室
「リラックス出来る、お香です。サービスなのでご自由にどうぞ」
…………
「うーむ、してやられましたわ」
「え、なにがですか?」
「元々ある内容なのか、本当にサービスなのか判断がつきませんわ」
「そんなの気にしても仕方ないのでは」
「そーだね、シンシアちゃん、ケチくさいよ」
「なっ……」
シンシアさんは絶句してしまった。
「それはそうとさ」
「はい?」
「セレナちゃん、お風呂に入れたほうがいいのかな?」
「うーん」
結晶化したセレナも部屋に運び込んでいる。
結晶の中にいるセレナ自身はともかく、長旅で周りの結晶に汚れや埃がついている。
一応気にかけて拭いたりはしているのだけど、結晶特有の形状のせいで隙間に汚れが溜ってしまっているのだ。
故に水やお湯で洗えればいいのだけど……
「流石に宿の浴室を使うのは迷惑なのでは……迷惑にならないところで、結晶を除去しながら、洗うしかないと思います」
「それって、道中の湖とか?」




