クレーン
傭兵らしき男は困惑したように目を泳がせていたが、
何かに気付いたような素振りを見せるとふんぞり返って見せた。
「そうか。嬢ちゃん、このガキとグルだな」
「なにを言ってるんですか?」
すると、男は鼻を鳴らして笑った。
「しらばっくれるんじゃねぇよ!テメェら二人がかりでオレをハメようとしてんだろ!」
「何言ってんだよ!この姉さんはさっきあったばっかりだよ」
「そうです。私は中立に立って冷静な意見をしたまでです」
「そんなことで、騙せるかよ!オレは――」
このままじゃ、水掛け論だ。
そう思った私はあえて強気にでることにした。
「いい大人が、いい加減にしてください!」
「なんだと?」
「納得いかないなら、買わなきゃよかっただけでしょ!」
「そうだね……手垢はついたけど、その新聞を返してくれたらそれでいいよ」
どちらかと言えば、折衷案をだしたつもりだった。
しかし、男はかえって激昂した。
「なんだと、このオレをナメてんのか!」
男は私の胸倉を掴もうとした。
そして、男の指が私の襟元に触れる瞬間、
私はカウンターで男の胸の鎧の隙間に腕を差し入れると頭の高さまで引き上げた。
「あぐっ!?」
男は吊り上げられるような形となった。




