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言葉のドッジボール
私は馬達を繋ぐと、すぐに二人の元へ跳んだ。
「110ルドーだと!?なんで、今朝のがそんな高ぇんだ!昼過ぎだぞ、今!」
「ウチはこれでやってんだよ!それになにもおかしな価格じゃない!」
売り子は倍以上の身長がある傭兵に対して、物怖じせずにぶつかっていた。
「……なにやってるんですか?」
「あ、さっきのお姉さん」
「あン?なんだ、嬢ちゃん?今このガキに用があるんだ、邪魔するなら引っ込んでてくれ」
「私には子供を恫喝してるように見えますけど」
「恫喝だって?コイツがぼったくろうとするから叱ってるだけだよ」
「110ルドーは適正価格だよ!」
「なに言ってやがる、古書屋なら高くても90ルドー、だいたい80くらいが適正だろうが!」
「それは中古品だろ!これは新品販売なんだよ!」
「売れ残った新聞なんざ、中古と変わんねーだろが!」
「だったら、古書屋で買えばいいだろ!こっちは移動販売の手間もかかってんだよ!」
「……この子の言うことのほうが理があると思います」
「なっ!?」




