敏感少女
「まぁ、自然環境とかも関わってくるからね、匂いには。
こっちはあっちと違って、自然破壊とか問題になってないし」
「なるほど。ということはクリシュナさんの嗅覚は鋭いのでしょうね」
「そうなんですかね?気にしたことないですけど」
とは言いつつも、五感の鋭敏さにはそれなりに自信はある。
生まれ育った場所自体が山奥だし、
戦闘においても五感は重要なので、父やきょうだい達に鍛えてもらったことがある。
「でも、匂いに敏感だと困ったりしませんか?」
「なにがですか?」
「ほら、こう旅をしてるとどうしても……その、臭い……悪臭とかが……」
確かに旅をする以上、清潔さに気をつけても汚れる時は汚れるし、
食糧の為に獣を狩れば、血なまぐささや解体時の特有の汚濁はある。
「そういうのは風魔法で鼻孔や場合によっては身体全体をガードすればいいですから」
と、答えたところで、シンシアさんは目を丸くした。
「……どうしたんです?」
「ずるいです、そんな方法があったなんて!
教えてくれたらよかったじゃないですか!
私ずっと我慢してましたのに!」
シンシアさんは涙目で訴えてきていた。
「ええ……?」
そんなことを言われても困る。
そもそもこちらは知らないということを知らないのだ。




