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最強一家の末娘~鬱フラグブレイカーの救済録~  作者: 結城コウ
第9章 海を渡る少女
364/1085

side:A / side:B

――――がくん。



スピードがまさに殺されたように、失速――いや停止した。



「!???!??!?」



言葉が出なかった。


二股に別れた剣がさすまたのように私を押さえ込んでいた。



何故こんなことに?


状況が何一つ飲み込めなかった。



ただ一つ確かなのは、私の腕の中から温もりが消えていたということ。



抱きしめていたはずの、シンシアさんが消えていたということ。


そして、代わりに現れた剣に挟み込まれていたということだった。


そして、なにかを考えるより先に二股の剣に引っ張られ、虚無の先へと、引きずり込まれた。





――


――――


――――――――


――――――――――――――――――――――――









「……空?」



私の目の前に飛び込んできたのは、青い空。


そして、最近嗅ぎなれていたのに、終末の獣によって消えたなくなっていた磯の香りだった。



「クリスちゃん!」


すると、すぐに見慣れた顔が飛び込んできた。


「……ちーちゃん?」


上半身を起き上がらせると同時にちーちゃんが私に抱き着いた。


「ああ、よかった!他に方法がなかったとは言え、生身で次元の壁を跳び越えたから……!」


その時になって、私はやっと、”戻って”これたこと、デッキの上に寝かされていたことに気付いた。


「ちーちゃん――――っ!そうだ、シンシアさんは!?」


ちーちゃんは不思議そうな顔をして私の右側を指差した。


目を向けるとシンシアさんが隣合う形で眠っていた。


そして、私の右手とシンシアさんの左手は、離れないよう固く握られていた。

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