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最強一家の末娘~鬱フラグブレイカーの救済録~  作者: 結城コウ
第9章 海を渡る少女
358/1085

side:B 飛翔

――――side of ”before”


咄嗟にシンシアさんを庇うように抱き寄せた。


終末の獣の牙は私の庇ったその腕に突き刺さった。


「う、くぅっ!」


「――!!」


激痛が思考をクリアにした。


私はその場から逃れる為の最適な方法を繰り出した。


「『フェニックス・ライド』!」


シンシアさんを抱きしめたまま、

私達は不死鳥と一体となって、獣達を薙ぎ払いながら上空へと飛びあがった。


「うぁああああっ!」


溢れるように飛びかかってくる獣を炎の鳥で振り払うと、一定の高さに来たところで解除し、

私達は船のマストの上に着地した。


「く、クリシュナさん!」


「シン、シア……さん……正気を取り戻せたん、ですね……」


「そんなことより、その身体……!」


私はボロボロになっていた。


だけど、それ自体は大したことじゃない。


回復魔法で治療できるし、何よりまだ私は戦える。


ただ、想定以上に持ちこたえることが出来なかったことのほうが問題だ。


眼下にはまるで、海のように終末の獣達が飲み込まんと押し寄せて来ていた。


本物の海は、終末の獣達によって喰い荒らされたあとだというのに――

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