side:A 片割れ
――――side of ”after”
ちーちゃんは船の頭で乗り出しながら、その時を今か今かと待っていた。
しかし、焦りとは裏腹に、陽が沈みかけていても目標のポイントには至っていなかった。
「ねぇ、チヒロ!」
「まだだよ、シンシアちゃん」
「なにも言ってないじゃない」
「じゃあ、他のことを言うつもりだったの?」
「それは、そうだけど……」
互いに進行方向を向いたまま、沈黙が流れていた。
「……ところで」
「なにかしら?」
「どうして、半分しかいないの?」
「…………わかってたんだ」
「それは、まぁ」
それは今まで、触れられずにいたことだった。
「……アタシだって、知りたいわよ」
「もしかして、”もう半分”もクリスちゃんと一緒に取り残されたの?」
「多分……状況を考えたらそうとしか思えない」
「正直、シンシアちゃんのことはどうなるかわからないよ?
もう一度、同じ人間に統合される保証もされない保証もないし……最悪どうなるか――」
「今となってはどうしようもないわ。どちらにしろ、ロードしないとあの子は助からないだろうし、アタシ自身だって覚悟がない訳じゃない」
「そう、それだけが気がかりだったから聞けてよかった」
「え?」
「たった今、ポイントに入った」




