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side:B ダンスパーティーはお開き
――――side of ”before”
それは共に踊っているというよりは、等身大の人形を操っているようだった。
「ああああああっ!!」
シンシアさんの絶叫がこだまする。
二人で握った剣が額から、終末の獣を貫いた。
「目をそらさないで、シンシアさん!」
無茶な要求は重々承知の上だ。
それでも、ここを耐え凌げなければ、先はない以上、やるしかなかった。
『ウォォオオンッ』
「!」
剣を突き出した方向とは逆方向から、獣が突っ込んでくる。
「『気功波』!」
『ォォォオッ――』
現状、自由なもう片方の手で死角から、対応する他ない。
二人で握っている分、剣では対応が追いつかない。
なんとか、片手で対応しきるしかないのだが――
――先に来たのは限界だった。
「あぐっ――」
終末の獣が左足に噛みついていた。
対応は間に合わない時が来てしまった。
膨れ上がった終末の獣の影がもうすぐ私達を押しつぶすところまで、来ていたのだ。
噛みつかれた獣を振り払おうとしても、その前に他の獣達が迫り――
『――ァァ』
「――シンシアさん!」
「――――」
その鋭い牙はシンシアさんの頭蓋を砕かんとしていた。




