side:A 最悪の想定
――――side of ”after”
「クリシュナさんの存在ってのはわかるけど、セーブ形式って?」
「最近のゲームと同じ、任意セーブと自動セーブの違いのことだよ」
「え?」
「これまでは、それを操作出来る人間がいなかった。
だから、クリスちゃんは自動セーブされた世界にいる可能性が高い」
「それの何が問題なのよ?要はロード出来たらいいんでしょ?」
「そう、ロード出来たら、ね」
「ど、どういうこと!?」
「自動セーブだって言ったでしょ、仮に新しい世界が生成されたら……」
「どうなるのよ!?」
「恐らくは、世界そのものと一緒に消える」
「!」
「だから、そうなる前に一刻も早くロードしないと」
「り、リタ船長!航路は戻したの!?」
リタ船長は船員達に指示を送っていたところだった。
「ああ、ついさっき戻したところさね」
「急いで!」
「それはわかってはいるし、精いっぱいやってるけど……」
かと言って、それで船がそれ以上早くなるというものでもない。
「っ……そ、それで、チヒロ。ロードってどうするの!?」
「それについては心配ないよ。今のワタシなら、操作出来るから」
だから、後は世界が”塗りつぶされていなければ”、
そう言いかけた言葉をちーちゃんは飲み込んだ。




