side:B 戦闘という共同作業
――――side of ”before”
「シンシアさん!」
シンシアさんに呼びかけながら、腕を引っ張るがシンシアさんの足は完全に止まったままだった。
『オオオオオォオオォオォォォ』
「く!」
動きが止まった事で、一斉に獣達が飛びかかってきた。
「――『ジャイロ・エアスピット』!」
咄嗟に魔法を空に向けて放つ。
風圧で飛びかかってきた獣は弾きかえしたが、直撃させられない分、威力が落ちた。
「しっかりして下さい、シンシアさん!」
今の方法では飛びかからず、真っ直ぐに突っ込んで来られたら、対応出来ない。
現に今まさに突進しようと姿勢を低くする獣が見えた。
「う――あ――」
「シンシアさん!」
反応を示した、そう思ったのも束の間だった。
「あ、ああああああああああああっ!!」
シンシアさんの恐怖が爆発した。
駄目だ、戦い慣れしていない彼女はとっくに精神の均衡は崩れていた。
「――っ」
迫る終末の獣――私はイチかバチか剣を持ち替えた。
シンシアさんと私を繋ぐ手――そう二人で握る形に。
「はぁっ!」
「!?」
突っ込んで来た獣にシンシアさんと一緒に剣で迎え撃った。
荒療治だが、こうなったら、直接戦闘を味合わせてシンシアさんに慣れてもらうしかない。
それが私の判断だった。




